ブランディングのポイントは「お話し」
ブランディングの仕事をお手伝いする時に、最も大事にするのは「お話し」。
「お話し」とは、最近流行のブランドストーリーや、カスタマージャーニー系のことではなく企業の人が私たちにしてくれる普通の「お話し」。なんで「お話し」をそんなに大事にするかというと、そのお話しにこそブランド構築で欠かせないエッセンスがあふれているから。
考えてみてください、ご自身が何か話そうとする時のことを。話す内容のことを頭の中から総動員してコトバにしていませんか?
そして話をしてみると、頭が整理されて自分でも見つけられていなかったコトバが出てくることありませんか?
また、他人の話を聞くときのことを思い出してみてください。その話し方で、話す人の人となりを感じたりしませんか?
これ、企業活動でも一緒なんです。だって企業のこと法「人」っていうじゃないですか。
企業というまとまった形になるといきなり無機質なものと感じたりするかもしれませんが、その企業を分解していくと、中で働いている一人ひとりの「人」がいる。その「人」が企業を作り上げている。だから、企業のことを理解するときに私たちはその「人」の「お話し」をとっても大事にするんです。
でもブランディングの中で、「お話し」を聞いているとクライアント方からこんな言葉を掛けられることがあります。
「こんな話で役に立ちますか?」
役に立つんです!もっというと、そのお話がなければブランドなんて作れないんです。今回は、私たちがそのお話から何を見ているのか?なぜそのお話がないとブランドは作れないのかをちょっとお話しさせていただきます。
まずひとつめは、「お話し」のどこを聞いているのか?
「お話し」の内容は勿論大事ですが、それよりも選択するコトバ、話し方、伝え方を注意深く聞いています。話すご本人は何も意識していないその一つひとつに ブランディングのヒントがあふれているんですよ。なぜかって??
選択するコトバによって、議論されてきた過程やその企業が大事にしている価値基準を垣間見ることができます。自分の中にないことは話せませんよね。発せられたコトバはきっと議論の途中で出てきたものその議論がどういう価値基準で商品に帰結したのかを探るヒントになるんです。
次に、話し方。それは企業文化という背景を見るのに重要なんです。語りかけるのか、説得しようとしているのか、はたまた自信にあふれ疑いがない演説なのか? 話し方を見ると、どんな会議体で、どんな決め方がされる企業なのか? そんな企業組織を感じることができるんです。
更に、伝え方。これはブランドと生活者のギャップに気づくこともできるんですよ。
企業の方が当たり前と思って話している内容を、一生活者として聞くと「?」と思うことがある。伝え方は企業の前提と生活者の意識を比べる上で非常に重要なんです。また、それらすべてを通して、企業の文化を感じるようにしているんです。この企業文化というの、非常に重要なんです。
それが2つ目のテーマ「お話し」がないとなぜブランドは作れないのかです。
ふたつめ「お話し」がないとなぜブランドは作れないのか?
前項の最後でもお話ししたおとり、「お話し」から企業文化を感じているんです。先程の法「人」の話に当てはめてみるとこの文化といのは、いわば性格。どんな性格の人なのかということに他ならない。これはブランドを定着する上で、重要なファクターになります。企業(法「人」)だとわかりづらいので、個人に当てはめて簡単に紹介してみます。
前向きな性格の人には目標や夢を語るのは、受け入れられます。でも保守的な人に、夢を語り続けても空回りする。親身な性格の人に、人の何に役に立つのかを語るのはきっと受け入れられるでしょう。でも革新的な人には、その先にある何を変えるのかという事の方が受け入れられるのではないでしょうか? また、カッコいいのが好きな人もいる、シンプルなのが好きな人もいる。つまり、その個人の性格によって、受け入れられる内容が変わるんです。企業に受け入れられるためには、この性格=文化を見極める必要があるんです。
ここまで読んで、あれっ?と思った方いらっしゃいますよね?
「ブランドって、生活者に届けるためのものではないの??」と。
正解です。ブランドは生活者に届けて初めて機能します。でもブランドを作っている中の一人ひとりが納得して進められなければ、ブランディングは成功しません。だって、「あなたはこんな人だ」とブランドを決めても中の人が「俺はそんな人間ではない」と納得できなかったら、動けませんよね。だから中から納得することが大事なんです。また、アウトプットとしての商品やサービスは、中の人が作ったもの。つまり、中の人の文化を見極めることが外の人にも伝わる最も強いものになるんです。
ブランドは広告会社やブランディングエージェンシーが勝手に作るものではなく中から湧き出てくるもの、湧き出ているけど見えづらくなっていることを「お話し」を通して伝わりやすいように整理することなんです。それが私たちが考えるブランドです。
「お話し」の重要性、伝わりましたか?